「いいじゃん灰色! ゾンビっぽくてさ」


あたしはそう言いながら席を立って栞奈に近づいた。


「あはは! 言えてる!」


栞奈はあたしの言葉にまた大笑いだ。


メンバーにあたしが加わったことで真由子から笑顔が消えた。


さすがに、大人数で囲まれるとキツイみたいだ。


でも、そんなことあたしには関係なかった。


昨日聞いた両親の怒鳴り声をかき消すように、大きな笑い声を上げる。


「この色って美羽にも似合うんじゃない?」


あたしは机で漫画を読んでいる伊吹美羽(イブキ ミウ)へ視線を向けてそう言った。


美羽と真由子は仲が良く、いつも2人で行動している。