あたしは1年生で下駄箱の場所が違うからここで別れるけど、穂香とみゆなは同じ3年生だ。


どうして1人走って行ってしまったんだろうか。


疑問に感じて穂香の後ろ姿を見つめていると、みゆなが口を開いた。


「一緒にいると、標的にされる可能性が高くなるから」


「標的……?」


そう聞くと、みゆなは笑顔のまま頷いた。


「弱い人間が2人いたら、それをからかって盛り上がる人もいるんだよ」


そう言われて、あたしはみゆなを見つめた。


みゆなも穂香も、教室ではあたしと同じような扱いを受けているのだろうと、すぐに理解した。


「でも、2人いればなにかできるんじゃない?」


あたしみたいに1人で叩かれているわけじゃないなら、互いに支え合う事も可能なはずだった。


しかし、みゆなは左右に首を振った。


「なにかできるかもしれない。そうやって頑張ってきたけれど、結局2人同時にイジメられるだけだった。あたしと穂香はお互いを守るために別々にいるの」