あぁ、もうダメだ。


この家にあたしの居場所はないんだろうか。


教室内での出来事を相談する相手はいないんだろうか。


次々とぶつけられる暴言に、あたしの心は分厚く重たい扉を閉めるしかない。


しっかりとカギをかけて、何者の言葉も入ってこないようにするしかない。


延々と続く父親からの説教を、あたしは黙って聞いていることしかできなかった。


反論すれば更に激化する。


自分の身を守るために黙り込むのは、イジメを受けた被害者と同じだった。


「全く、お前には意見ってやつがないんだ」


黙り込むあたしへ向けて父親は最終的にそう言い、満足したようにキッチンへ移動してしまったのだった。