「お前は自分の立場がわかってるのか?」


父親にそう聞かれて、あたしは黙り込んでしまった。


自分の立場ってなんだろう。


あたしはこの家の囚人かなにかなんだろうか。


「勉強もせずに遊び回って、何を考えてる!」


「先月の話じゃん」


あたしは思わず強い口調で言い返していた。


しまったと思っても、もう遅い。


父親の顔が見る見る真っ赤に染まって行くのを見た。


「なんだその言い方は! お前のせいでこっちは恥をかいたんだぞ!!」


テーブルを叩いて怒鳴り散らす。


恥をかいた?


たかがカラオケに行ったくらいで?


そう思っても、もう何も言うことはできなかった。


母親はあたしの隣で、あたしを軽蔑したような表情を浮かべている。