あたしはグッと奥歯を噛みしめた。


その瞬間、思い出した。


真由子のネイルをバカにして、使い切ったこと。


美羽の腕まで灰色に染めたこと。


あたしは悪くない。


だってあの時はそうした方が盛り上がったし、栞奈だって……。


「謝れ!」


誰かが言った。


それが、真由子と美羽の声に聞こえてビクリと体を震わせた。


今だって同じじゃないの?


盛り上がるから、栞奈だって満足するから。


だからあたしが……。


「……ごめんなさい」


あたしは、ひび割れた声でそう言ったのだった。