「こんなもの持っててもねぇ」


あたしはプラスチックの指輪を一度人差し指にはめてみて、そのままゴミ箱に入れた。


小テストも、ビーズで作ったネックレスも、出窓の下に置いてあるゴミ箱へとどんどん入れて行く。


こんなものに執着しているからいけないんだ。


小学校の頃と、今は違う。


今言い点数を取らなければ、意味がないんだ。


宝箱の中に入っていたのはただのガラクタばかりで、涙が滲んで来た。


あたしはそれをグッと目の奥に押し込めて、宝箱の中をもう1度確認した。


箱の側面に張り付くようにして入っている手紙を取り出す。


「お父さん……」


それは小学生だったあたしに、お父さんがくれた手紙だった。


ちゃんとした封筒に入れられ、切手を貼られて律儀に投函されて、送られて来た手紙。