「そいうのやめろよな。栞奈がかわいそうだ」


そう言う龍一にあたしは目を見開いた。


栞奈のことなんて眼中になかったくせに、何を言ってるんだろうか。


「なぁ、みんなもそう思うよな!?」


途端に龍一が他のクラスメートへ向けて同意を求め始めた。


教室内にいた子たち全員が龍一に同意している。


あたしは体が冷たく冷えて行くのを感じた。


これは本気でヤバイかも……。


栞奈と美月は勝ち誇った表情であたしを見下ろす。


なにか言わなくちゃ。


否定しなくちゃ。


そう思えば思うほど、言葉が出なくなる。


栞奈と2人でいたときは人をけなす言葉だって、いくらでも出て来たのに……。