「俺の次は先輩か?」


教室後方から聞こえてきて声に振り返る。


龍一が蔑んだ目をこちらへ向けている。


「何言ってんの? あたしは誰とも付き合ってないじゃん」


「そう? あれだけ男に奢ってもらったのに?」


「あれは、栞奈が一緒だったから!」


咄嗟にそう言ってしまい、あたしは口をつぐんだ。


栞奈の刺すような視線を痛いほど感じる。


「なにそれ、あたしのせい?」


「そういうわけじゃないけど……」


男に奢らせる好意はあたしも楽しんでやっていたことだった。


すべてを栞奈のせいにすることはできない。