誰からそんなことを聞きだしたんだろう。


「それなのに菜々花は青南高校なんだぁ?」


美月の粘りつくような声が鼓膜を震わせる。


「テキスト、返してくれない?」


そう言って手を伸ばす。


すると美月はわざとらしくそれを床に落とした。


「青南で勉強したって、意味ないのに」


栞奈が含み笑いを浮かべて言う。


それを見ていたクラスメートたちから、さざめきのような笑い声が起こった。


あたしはそれらを聞かないふりをして、テキストを拾い上げた。


破られなくてよかった。


そう思ってホッとしている自分が、情けない。