高校は失敗してしまったけれど、大学で取り返せばいいのだ。


自分自身にそう言い聞かせて問題を読み進める。


けれど、時折聞こえて来る両親の会話が気になって、どうしても集中することができなかった。


ようやく1問解いたところで、あたしは出窓に置きっぱなしにしてある小ぶりな木箱を手に取った。


随分長い間ここに置いたままにしているから、ホコリが被っている。


木箱は小学生の頃漫画雑誌のプレゼント企画に応募し、当たったものだった。


その頃から、この木箱は宝箱としてここにあった。


上に被っている埃を手の平で落とし、蓋を開ける。


中に入っているのは色の剥げたオモチャの指輪とか、100点をとった小テストだったりとか、当時のあたしにとっては宝物だった品ばかりだ。