中庭に誰も出てきていないのが、せめてもの救いだった。


あたしはサンドイッチを口に含んで空を見上げた。


雲1つ無い日本晴れ。


その空へ向けて右手を伸ばしてみた。


校舎が邪魔をして四角く切り取られた青空をジッとみていると、自分が空を飛んでいるような気分になってきた。


そんな時だった。


こちらへ近づいてくる足音が聞こえてきて、あたしは視線を戻した。


「あ……」


近づいてくる龍一の姿を見て、あたしは小さく呟いた。


龍一はまっすぐにこちらへ向かってくる。


あたしを探していたんだろうか。


「なぁ」


笑顔もなく話しかけられて、あたしは視線を逸らした。


「なに?」


「俺と付き合う気になった?」


そう聞かれて、あたしは視線を龍一へと移動させる。