☆☆☆

「勉強は進んでいるのか」


家で夕飯を食べている時、父親がそう声をかけて来た。


あたしはハンバーグに伸ばした手を止めて、父親を見る。


「まぁまぁね」


「なんだそれは。もっとしっかり勉強をしないと――」


「可愛い菜々花ちゃんへ」


あたしは記憶している手紙を口ずさむ。


父親と母親がが驚いた表情であたしを見ても、かまわなかった。


あたしが産れて初めてもらったラブレター。


それは父親からのもので、あたしの1番の宝物なんだから。