「健太、ありがとう」


あたしはそう言い、白い百合を花筒に活けた。


灰色の墓石がオレンジ色の太陽を浴びてキラキラと輝いている。


周囲も綺麗に掃除されていて、健太が今でも愛されていることがわかった。


「健太。俺たちはもう大丈夫だから」


線香を立てて、有馬が言った。


そうだよ。


あたしたちはもう大丈夫。


だから健太も、もう安心していいからね……。


そんな思いで手を合わせる。


その時だった。


砂利を踏む音が聞こえてきて、あたしは目を開けた。