そんなにも長い間、健太はここに居続けていたのか。


みんなが青空クラスを卒業しても、健太だけは卒業できずにいるのだ。


あたしは滲んで来た涙を脱ぐい、フェンスにくくられている風船の紐をほどいた。


手から離してみても、しぼんだ風船は自力では飛んでいくことができない。


健太も、これと同じ状態なのかもしれない。


「健太のお墓に行きたいです」


あたしは工藤先生へ向けてそう言った。


10年も前からここに縛りつけられている健太を、すぐにでも楽にしてあげたかった。


あたしたちのことならもう心配ないよ。


次は健太の番だよ。


そう言ってあげたかった……。