カンニングなんてしていない。


悪い事なんてなにもしていない。


どれだけ訴えてみても、医者としての進学ができなかった健太に対し、両親は冷たかった。


そして、ある日の放課後。


午後5時を知らせるチャイムが鳴ったとき。


ついに健太はここから飛び降りたのだ。


16年という短い人生を自分の手で終わらせるために……。


「その時からなんだ。健太は朝ここに現れて、5時のチャイムと同時に消えるようになった」


工藤先生はそう言って、オレンジ色になった空を見上げた。


「俺が来る前に、前任の先生もここにいて、健太と一緒に青空クラスに来る生徒たちを見守っていたんだ」