「なぁ、もうそろそろ帰ったらどうだ?」


健太の顔が淡いオレンジ色に染まった。


見上げてみると、太陽が西へと向かっているのがわかった。


「それなら、健太も一緒に帰ろうよ」


そう言ってあたしは健太へ向けて手を伸ばす。


次の瞬間、5時を知らせるチャイムが聞こえて来た。


伸ばした手が健太に触れる瞬間、そこには金色の光が満ちていた。


え?


首を傾げる暇もない。


ついさっきまでそこに立っていた健太が、消えていたのだ。


「え、なに?」


動揺し、手を引っ込めて周囲を見回す。


なにかのマジックだろうか?


そう思ってみても、近くに人が隠れられるような場所はない。