「俺は1人でも平気だから」


その声色はどこか寂しそうで、すぐに嘘だとわかった。


「どうして教室へ戻らないの? 健太が教室に戻らない理由ってなに?」


それがわかればなにか変るかもしれない。


工藤先生だって、1組の担任の先生だって、対策をしてくれるかもしれない。


とにかく、ここで1人でいるのだけはやめてほしかった。


「別に大した理由じゃないから」


そう言って健太は空を見上げた。


太陽はの傾きは増し、街がオレンジ色に染まるまであと数十分くらいだった。


「大した理由じゃないならさ、教室へ戻ってみようよ」


みゆなが言う。


しかし、健太は首を縦に振らない。


意地でも、自分の悩みを打ち明けないつもりだろうか。