太陽は少し傾いて来ていたが、屋上から見る空は相変わらず綺麗だった。


「健太!」


フェンスに寄り掛かった男子生徒へ声をかけると、健太が眠そうな顔をこちらへ向けた。


「やっぱりここにいた」


そう言って近づいて行くと、フェンスにはグリーンの風船が括りつけられているのが見えた。


工藤先生の誕生日パーティーの時に使ったもので、空気が抜けてしぼんでしまっている。


「なんだよお前ら。戻って来たのか?」


眠そうな目をこすり、健太が近づいてくる。


「健太を迎えに来たんだよ」


あたしは躊躇することなくそう言った。


「迎えに?」


「そうだよ。青空クラスで卒業できてないの、健太だけじゃん」


そう言って健太に手をのばしたら、よけられてしまった。