そっと、健太の背中へ右手を伸ばしてみる。


もし、万が一、触れることができなかったら?


そう思うと心臓が早鐘を打ち始める。


健太はここにいるのに、もうここにいないのではないか?


そんな、わけのわからない不安が胸に膨らんでいく。


もう少しで健太の背中に触れる。


そう思った時だった。


ガチャッと音がして屋上のドアが開かれた。


咄嗟に、健太から手をひっこめるあたし。


心臓はまだドキドキしていたが、上半身を起こして入り口を確認した。


「有馬と源太? 珍しいね、こんな時間に来るなんて」


2人が立っているのを見て、あたしはそう声をかけた。


緊張して少し声が裏返る。


不自然に思われなければいいけれど。