本格的に寝るつもりだろうか、返事はない。


「健太はいつまでここにいるの?」


もう1度そう聞いても、やっぱり返事はなかった。


「寝るの早すぎ」


呆れてそう言い、空に視線を戻そうとした時、不意に鬼ごっこをした時のことが蘇って来た。


あたしは健太に触れた右手を見つめる。


あの時、あたしは確かに健太に触れたよね?


だけどこの手はすり抜けた……。


そんなことあるはずない。


あれはただの思い過ごしだ。


そう思っても、隣の健太を意識せずにはいられなかった。