教室へ戻る決意をした2人の方が、よほど強く感じられた。


「じゃあ、ここで約束しない?」


みゆなの言葉にあたしは視線を向けた。


「菜々花はきっと、とても強い人。今はちょっと休憩するために、この場所が必要になってるだけ。でも、また文字が読めるようになったら、教室へ戻るって」


文字が読めるようになったら、教室へ戻る……。


みゆなの言う通りそれが正しい答えなんだろう。


ずっと青空クラスにいることはできない。


そんなこと、わかっていたはずなのに……。


あたしはうつむき、ギュッと拳を握りしめた。


徐々に文字が読めるようになっていることは、まだ誰にも話をしていなかった。


「それじゃ、また当分ここにいることになるね」


あたしは、ここで初めて嘘をついたのだった。