「おかげで青空クラスがあるって知れて、心が楽になったんだよ」


真由子の言葉にあたしは顔を上げた。


その表情には一点の曇りもなく、嘘はついていない様子だ。


「教室以外にも居場所はある。そう思うと、自然と教室に戻る事ができたよね」


過去を思い出すように美羽が言う。


「そうだったんだ……」


2人はあたしが知らない間に沢山の葛藤をして、そして前に進んでいたようだ。


今のあたしとは大違い。


「ね、文字は読めるようになった?」


美羽があたしの顔を覗き込んでそう聞いて来た。


「あぁ……うん。少しずつね」


文字はまだ歪んで見える事が多かった。


それでも、当初に比べれば意味を理解できるようになりつつある。