「お客様! なにしてるんですか!?」


カウンターの方から聞こえて来た声に、さすがに栞奈は手を止めた。


しかし、怨みの籠った視線をあたしへ向けたままだ。


「行こう。栞奈ちゃん」


美月が周囲の視線に耐え兼ねてそう言った。


「覚えとけよ」


栞奈はあたしたちから離れる寸前、そう呟いたのだった。