「菜々花が相手だと、２人でいても普通に話せる。目を見ても話すこともできる」


そう言われて、心臓がドクンッと跳ねた。


なんだか今すごく恥ずかしいことを言われた気がする。


「あ、あたしのことを女として見てないってことだよね」


あたしは照れ隠しに早口になってそう言った。


「そっかぁ、そういうとらえ方もあるんだなぁ。なぁんだ、てっきり菜々花は俺にとって特別な相手なのかと思ってた」


健太はわざとらしくそう言って、笑い声を上げる。


特別な相手……。


そんな風に言われると嫌でも意識してしまう。


「もう！　変なこと言ってないで勉強するよ！」


あたしはそう言い、読めないくせに教科書を取り出したのだった。