「でもさ、世の中にはそう思ってない人間も沢山いるんだよ。女に医者は無理だとか、女には手術してほしくないとか」


それは完全な偏見と差別だ。


あたしは、ムッとしてコンクリートを睨み付けた。


「実際に患者の中にもいるんだよ。『女性の医者は信用できない』って言って、受診しない人とかさ」


「そうなんだ……」


「だからなんだ。俺1人に期待が集まって、姉2人の不満は溜まっていった」


家庭内で、しかも兄弟間であからさまな差別を受けているのだとしたら、健太のお姉さんたちはひどく傷ついたことだろう。


そしてその傷は自分より弱い者へと向けられる。


「健太の女嫌いってもしかしてさ……」


あたしがそこまで言うと、健太は頷いた。


「正直言って、姉貴たちのせい」


やっぱり……。