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「一体、なにがどうなってるの」


中庭のベンチに座った母親が、あたしを睨み付けてそう聞いて来た。


「まぁまぁ、そんなに怒らないでください。枝松さんは、ちゃんと授業を受けているんですから」


工藤先生はおだやかな口調でそう言った。


しかし、母親の表情は険しいままだ。


あたしは大きく息を吸い込んだ。


「あのね、お母さん……。あたし今、旧校舎の屋上で授業を受けているの」


勢いよく、そう言った。


心臓はバクバクとうるさい。


「屋上で授業ですって?」


「はい。授業は俺が教えています」


「あなたが?」


母親が工藤先生を品定めするようにジロジロと見つめる。


お願いだからそういうことしないで!