「すごいぞ枝松」


そう言って、工藤先生があたしに手を差し出して来た。


あたしはその手を握りしめてどうにか立ち上がる。


「あたしは工藤先生に言われたから、それを守っただけです」


特別なことなんてなにもしてない。


体育館倉庫に閉じ込められたくらいなものだ。


「それがすごいんだよ。枝松はきっと、すぐに教室に戻れるようになる」


工藤先生の言葉は嬉しかったけれど、一瞬胸がチクリと痛んだ。


もしかしてこの青空クラスを追い出されるんじゃないか?


そんな不安が胸をよぎったのだ。


「明日からはまたここで授業だ。みんな教科書忘れずに持ってこいよ」


工藤先生の言葉に、あたしは安堵してため息を吐き出した。


まだ、ここから追い出されるようなことはないようだ。


そう思い、自然と頬がゆるんだ。


「枝松、早く文字を読めるようになるといいな」


工藤先生の言葉に、あたしは頷く。