理解できない文字に次第に苛立ちが募りはじめた。


読書に逃げることすらできない自分が、惨めに感じられた。


「あの、これ……」


不意に声をかけられて顔を上げると、そこにはクラス委員の女性とが立っていた。


気まずそうな表情であたしにプリントを差し出している。


それを受け取ってみると、なにかのアンケート用紙だということだけは理解できた。


「ちょっとアヤ。内容まで読んであげなきゃダメだよ。だって菜々花は文字が読めないんだから!」


栞奈が笑いながらそう言うので、あたしはプリントをギュッと強く握りしめた。


「あ、そっか……。えっと、来週のクラス行事についてなんだけど……」


アヤが気まずそうな表情のままプリントの説明をする。