クラスメートたちからの視線は相変わらずトゲトゲしさがある。


「もう帰ったかと思ったよねぇ」


美月が栞奈に取り入るために、あたしの悪口を言う。


椅子に座り、教科書を取り出すあたし。


文字は読めないけれど、みんなの視線から逃れるために教科書を広げた。


相変わらず文字は歪み、文章として頭に入ってこない。


「真由子と美羽もなにか言ってやればいいのに！」


栞奈のそんな声が聞こえてきて、あたしは教科書から顔を上げてしまった。


栞奈がなにを言っても無視していれよかったのに、２人の名前に反応してしまった。


あたしは首だけ動かし、教室の後方にいる２人に視線を向けた。


真由子と美羽の２人はあたしと目が合いそうになった瞬間、視線を逸らせてしまった。


「あ～あ、２人からも嫌われちゃったね」


美月がおかしそうな声でそう言って笑う。