驚いた表情の2人が立っている。


「菜々花?」


泣いているあたしを見て穂香が戸惑いの表情になる。


そんな穂香へ向けて、あたしは両手を伸ばした。


穂香はあたしの手を握り、そしてあたしの体を抱きしめてくれる。


暖かくて、優しい香り。


「穂香~! みゆな~!」


「ちょっと、どうしたの菜々花」


穂香があたしの頭をポンポンと撫でてそう聞いてくる。


あたしは返事をしなかった。


返事をしない代わりに、穂香の胸を借りてひとしきり泣いたのだった。