先生に変な事言うな。


そう言われているのがわかり、あたしはすぐに栞奈から視線をそらせた。


「なんですか?」


先生に促されて廊下へ出ると、少しだけ気分が落ち着いた。


「工藤先生から話は聞いているわ」


その言葉にあたしは頷いた。


「病院へは?」


文字が読めなくなったことを言っているのだろう。


「まだです……」


「そう。でも、いずれ行った方がいいと思うよ?」


「わかってます」


あたしだって、このままでいいとは思っていない。


文字を読むために図書館で絵本を借りたりもしている。


それでも、未だにちょっとした文章すら読むことができないのだ。