「みんなここで食べる約束をしてたの?」


みゆなへ向けてそう聞くと、みゆなは左右に首を振った。


「約束はしてないよ。ただの偶然」


それでも『遅いよ』と声をかけるのは、ここにいる彼らの関係だからかもしれない。


「午後からはあたしたちもここで勉強しようと思ってるんだけどね」


穂香がそう言い、お茶をひと口飲んだ。


「そうなんだ」


穂香の言葉にホッとして笑顔を見せた。


健太と2人きりでも苦にはならない。


けれど、人数が多い方が楽しいことは確かだった。


「教室で――」


『なにかったの?』


そう質問をしようとして、途中で止めた。


このおだやかな雰囲気にのまれて忘れてしまいそうになるが、穂香とみゆなの2人だって教室内で悩みがあるからここへ来ているのだ。