「ただ、文字が読めないのはほっとけないな」


工藤先生が真剣な表情でそう言った。


「はい……」


いつまでも両親を誤魔化していることもできないだろう。


やっぱり、ちゃんと説明する必要がある。


ただ、今はまだその勇気がでなかった。


「しばらくは、今回みたいに俺が音読をして勉強してもいい。だけど、それだけじゃ授業には付いて行けなくなる」


工藤先生の言うことはもっともだった。


反論の余地はない。


「ただ、言いにくいことを無理して言うのは心に負担がかかるよな」


その言葉にあたしは顔を上げた。


工藤先生は包み込むような笑顔を浮かべている。