「工藤先生は、教室へ戻れって言わないんですか?」


そう聞くと、工藤先生は左右に首をふった。


「いや、できたら教室で勉強してほしいと思ってるよ? 俺も教師だからね」


そう言って笑う。


違う答えを期待していたあたしは、一気に落胆してしまった。


「だけど、俺にとってはここも教室の1つだ。ここで授業を受ければちゃんと単位を取れるようにしてもらった」


「単位を貰えるんですか?」


あたしは目を見開いてそう聞いた。


「あぁ~。ただし、俺が来たときだけな? 俺がいないときにここへ来ても、授業らしい授業はできないだろ?」


それもそうか。


屋上へ来るだけで単位がもらえるとなると、もう誰も教室へは行かなくなってしまうだろう。