「菜々花は今まで休憩時間にだけ来てたんです。ここで授業を行っていることは知りません」


健太が工藤先生にそう説明してくれた。


「あぁ、そうだったのか。じゃあ俺からも自己紹介が必要だな。普段は相談室にいる工藤だ。週に２、３回この青空クラスに来て授業を教えている。っていっても、全科目は無理だけどな」


工藤先生はそう言って笑って見せた。


「ここで授業をしてるんですか？」


あたしは驚いてそのままを聞き返した。


「そうだよ。学校へ来ても教室へ行くことができない生徒は思いのほか沢山いる。そう言う子たちが勉強する空間は必要だろう？」


ごく当たり前のように言う工藤先生にあたしは驚き、そして尊敬の念を抱いた。


「別に教室じゃなくても勉強できるもんな」


健太はそう言って白い歯をのぞかせて笑う。