「2人とももう帰ったのかなぁ」


栞奈の言葉にあたしは2人の机へと視線を向けた。


机の横に鞄がかけられたままだから、帰ってはいないだろう。


恐らく保健室辺りにいるんじゃないだろうか。


「知らない」


興味もないし、そっけなくそう返事をした時だった。


クラスメートの山崎龍一(ヤマザキ リュウイチ)が近づいてきた。


「菜々花、ちょっと話があるんだけど」


ちょうどおにぎりを食べ終えたタイミングだったから、きっとこちらを見ていたのだろう。


「なに?」


「教室の外で話したいんだけど」


いつもは人目を気にしないタイプの龍一が珍しい。


そう思いながらあたしは栞奈を見た。


「いいよ、行っておいで」


「すぐ戻るね」


あたしは栞奈へそう言い、龍一と一緒に教室を出た。