あたしは手紙を両手で握りつぶし、近くのゴミ箱へと捨てて大股に歩き始めた。


3組に行くつもりはなかった。


途中まで他の生徒達と同じ流れに乗って歩き、そのまま旧校舎へと来ていた。


屋上へ出るドアの前に立ち、あたしは深呼吸を繰り返した。


ここまで無心に歩いて来たからちょっと息が上がっている。


スマホで時間を確認すると、ホームルーム開始までまだ20分もある。


こんな早い時間じゃ誰もきていないかもしれない。


そう思いながらドアを開けると……。


フェンスの近くに立ち、空を見上げている健太の姿があった。


あたしはホッとして笑顔を浮かべた。


「健太」


そう声をかけると、健太は驚いた表情で振り向いた。