「変わってないよ、気持ち。ちっとも変わってない」

柊碧人がわたしに向かって言った。
あの日、告白してくれたときと同じように、熱のない静かなまなざしに、本気でそう思ってるの?伝わってこないんですけどと言いたくなる。

同時に不器用だったあの当時の彼の面影を見ているようで、わたしは安らいだ気持ちになった。

「なに笑ってるの?」

不機嫌そうに柊碧人は、持ち上がったわたしの頬に触れた。

わたしは首を横に振ってから、触れてくれた手の甲にぎこちなく触れて返した。ちゃんとした温度があって、皮膚の感触があって、彼の存在の全てが今ここにある。

それだけで、泣きそうだった。

ずっとずっと飲み込んできた言葉達がわたしの中にある。
沢山ありすぎて、もうなにを伝えていいのかもわからない。

わたしは吸い込んだ息を静かに吐いてから、彼に伝えた。

「なんだか愛おしくて」

碧人は驚いたように目を丸くして、少ししてから安心したように微笑んだ。


be happy and smile