「美優さんのことずっと心配だったよ。武山先輩があんなことになったから」
「……うん」
「大丈夫?」
「どうにか」
「一緒に帰らない?」と柊碧人はわたしを誘った。






校門を出てバス停へ向かう。思ったより元気そうで良かったと彼が呟くから、少し驚いて顔を見た。

「なにその顔」
「いや、意外すぎて。人間なんだね」
「なんだと思ってたの」
「柊碧人っていう生き物」
「わかりにくいんだけど」
「先生とか政治家とか、そういう感じ。最初に職業のイメージがあって、人がいるみたいな」

ああとわかったような返事をして、「みんな同じようなものじゃない」と言った。わたしは半笑いで足元に落ちていた小石を蹴った。