「……」
「それと、恋人ごっこと言いつつ、美優さんに触れたいときに勝手に触れて、守らなきゃいけないときに何も気づかずにいたことも、悪かったと思ってる。ごめん」
彼の言葉が嘘のないように聞こえて、
「……うん。わかった。わたしも、感情的になりすぎたと思うから、それはもういいよ。ただ……ひとつだけ訊いていい?」
「どうぞ」
「なんで碧人が付き合おうと声をかけたのが、わたしと有村先輩なの? タケちゃんを恨んでるから? タケちゃんの周りの子と付き合うことが碧人にとってメリットのあることなの?」
柊碧人は一度口を閉ざして、何かを考えているみたいだった。それから「話、長くなるよ」と、前置きをした。
「うん。いいの。聞かせて」
「俺たちの家族に関係あるんだ」と、呟いた。
「俺たちの家族?」
柊碧人は頷いて、視線を脇の公園に向ける。
小さな子供が数人滑り台やその周りで遊んでいて、母親らしき人達が見守っている。