ふと携帯が震えて、見るとタケちゃんから『今、生徒会室来れる?』と、メールがきた。
昼休み中に呼び出されるのは、珍しい。なんだろう。
『行く』
返信してすぐ、生徒会室へ向かう。
ゆっくり扉を開けると、窓を背にしながら校庭を見ているタケちゃんがいた。

「どうしたの?」と、小走りで駆け寄った。

「ん?顔見たくなって」と、言うから顔がにやけてしまいそうになる。

「靴あった?」
「探してない」
「一緒に探そうか?」

わたしは、かぶりを振った。

「新しいの買うからいい。どうせボロボロだったから丁度良かったんだ」
「美優」
「ん?」
「なんでも言えよ。助けるから」と言う瞳が、わたしのほうを向いているのに、どこか遠くの何かを捉えているようだった。

心がざわざわとして、影をかけようとするから、払拭するように「うん」と頷いた。
少し近づいて、自分からタケちゃんの腰に腕を回した。
タケちゃんもそうしたかったと言うように優しく引き寄せてくれるから、カッターシャツのごわごわした肌触りがすごく安らぎを与えてくれる。

「美優、今度どこか行かない?」
「えっ? どこかって?」
「美優の行きたいとこ。どこでもいいよ」