「ていうかさ、わたしみたいな凡人と恋人ごっこなんかしたらこうなること位わかってたんじゃないの?みんな納得できないんだろうね。
そりゃ、やっぱりおかしいよね。
もっと可愛くて明るくて性格のいい女の子だったら良かったんだろうね。納得するよね。
お似合いすぎて、口も出せないよね。有村先輩みたいな子だったらさ」
「なんで有村先輩?」
「……わたしに恋人ごっこ頼む前、有村先輩に告白したって本当?」
柊碧人は、ああだからかと、有村先輩の名前が出たことに納得したように頷いて
「本当だよ」
「それって……有村先輩には、彼女の振りじゃなくて本当の告白をしたってこと?」
少し間を持って、「まあそうなるかな」とはっきり答えた。
心がズキリとした。どこかで否定してほしかったのかなって、自覚するくらい。情けなく、はっきりと胸が痛んだ。
「本当だったんだ。なんだ嘘だったんだ。彼女欲しくないとか。嘘だったんだ……そっか、そっか、そっか」
笑っているのに、声が震えてきた。
「わたし、なんかバカみたいだね?
碧人の彼女の振りして、靴盗まれたり文句言われたりして、ヘラヘラ笑って誤魔化してさ。
わたしに彼女の振りをさせたかった理由はなに?
好きな女の子がタケちゃんと付き合ってるのが悔しいから?
逆恨み?
それで、タケちゃんの二番目のわたしと付き合ったふりなんかして、楽しいの?
何がしたいの?
わけわかんないんだけど」