駅前に着くと柊碧人は、たまに行くというアクセサリーショップに行って、わたしに行きたい店ある?と訊いて、わたしの好きな店にも付き合ってくれた。
どっちが買い物したかったのか、わかんない。だけど結局二人して、なにも買わなで眺めているだけだった。
その代わり、彼の手が思ったより男の子っぽいことや、ごつめの指輪が似合うこと、わたしが脚の太さを気にしてショートパンツやミニスカートは絶対穿かないけど、制服のスカートは短くしてしまうということを知ったり、教えたりした。
手は繋いだり離したり、気まぐれ。わたしからは繋がない。柊碧人が全部決める、
そういえば、いつまでこの恋人ごっこは続くのだろう。
柊碧人がモテなくなったとき?
それとも、本当に好きな人ができたとき?
それか、わたしがタケちゃんを守らなくてもいいと諦めたとき?
それがいちばんピンとこなかった。
わたしが、タケちゃんを諦めることなんてあるんだろうか。
すっかり西の空がオレンジに染まっている。
さっきまで目立っていた制服のわたし達も放課後の風景に溶け込んでいくようだった。