「おはようございます」

下駄箱に手をかけると柊碧人に挨拶をされた。

「おはよう」
「今日の昼休みから、一緒に食べること」とぶっきらぼうに言うと、わたしの横を通り過ぎていく。

「はっ?」

彼は、立ち止まり振り返ると、
「迎えに行ったほうがいい? 迎えにきたい? 学食で待ち合わせする?」と唐突に選択肢をあげる。

「ちょっと待って」
「選んでください」

一緒に食べないという選択肢は、どうやら存在しないらしい。

「学食で待ち合わせ」と答えると、「必ず来てくださいね。予鈴が鳴ったらすぐに」と、廊下の先へ向かって行った。








なんで、わたしなんだろう。
ふっと、頬杖をついて黒板を見つめながら考えた。

別に誰でもいいのなら、彼の彼女になりたい子なんかいっぱいいるのだから、彼女のふりでもいいという子だって沢山いるはずだ。誰でも良かったんじゃないのかって思うのに。

なんで、わたしなんだろう。
脅すことが楽しかったのかな。だとしたら、悪趣味以外のなにものでもない。