息を切らして待ち合わせ場所に行く。リコが立ち尽くして待っている。この後、友達と会うからか、普段と違う服装が新鮮だ。オフホワイトのブラウス、黄緑のカーディガン、そしてベージュのスカート。スカート姿を見るのはいつぶりだろうか。

「遅いよ」

 急に呼び出しておいて、そんなことを言ってくる。唇を尖らせて僕を見据えたのは、ほんの数秒。ま、いいけど。それなのに、素っ気無く踵を返すリコは、ある意味、潔い。

「ご飯、食べにいこ」

 僕のペースなんてお構いなしに、リコは僕を引っ張っていく。行く先はリコお気に入りのイタリアンレストランだった。