母と結婚してください。

「それで僕に近づいて、婚姻届にもサインさせて……君の任務はめでたく完了したというわけだ」

 もう僕は笑うしかなかった。

「良かったじゃないか。これでもうこんなおじさんと、ムダな時間を過ごさなくてよくなったんだから」

 全ては捨て台詞のようなものだった。リコが僕に近づいたのは、リコ自身の意思ではなかった。そのことが、これほどまでに僕の心を抉るなんて、正直、考えてもみなかった。