母と結婚してください。

 でも、違った。運命って本当に残酷ですよね。リコはもう一度、ティッシュで目頭を押さえる。

 リコは見事に採用された。配属先が一緒だったのはもちろん偶然のばずだ。理屈ではそうでも、リコの解釈は違った。母が導いている。彼に近づけと言っている。だから、僕に近づいた。母の愛した人はどんな人だったんだろう。本当に母のことを待ってくれていてくれるのだろうか。それを見極めるつもりで、リコは僕に相談を持ちかけたのだと告白した。