母と結婚してください。

 呆気なく、僕の勤め先も、そして独身であることまでも突き止めていた。

「結婚してないって聞いて衝撃でした。聞けば×もついていないって言うじゃないですか。もしかして、母のことをずっと待っていたのかもしれない。彼はずっと母のことを愛して、そして戻ってきてくれるのを信じて、今尚、待っているんじゃないかって。そう考えたら、いてもたってもいられなくなりました。だから就職活動の際、今の会社を受けたんです。採用されなかったら、きっぱり諦めようと思っていました。きっと母が止めたんだって。そんなことしなくていいんだよっていうことなんだと思うことにしたんです」