母と結婚してください。

「これでいいのか?」

 記入した婚姻届を見せると、リコは破顔して一つ頷く。ありがとうございます。そして深々と頭を下げた。これで母も浮かばれます。母はあっちの世界で幸せになれると思います。

 婚姻届を手に取ると、リコはすぐに隣の部屋に移動する。何やらボソボソと呟き、リコが手を合わせるのが見えた。引き戸で見えなかったが、そこには多分、仏壇があるのだろう。

 リコはそのまま手を合わて黙祷をした。きっと一分近くは黙祷していたに違いない。ようやく目を開けたリコは、再び、僕のキッチンに戻ってくると、向かいに座った。