僕が出張に出発して約三週間。詩織は退院することができた。しばらくは家で療養する。その予定で、家路を急いでいたのだという。

 彼女は身寄りがいない。一人で退院やらなにやらの手続きをしているうちに夕方になってしまった。

 10月だった。昼は短く、夜が来るのは早い。最寄の駅に着く頃にはかなり薄暗くなっていた。大回りにはなるが、安全な交通の多い大通りを進めば良かったものの、重たい荷物を持っていたこともあり、詩織はショートカットできる公園に入ってしまった。